コラム
品質保証に資格は必要?おすすめの資格・検定を紹介

品質保証の仕事は資格が必要ないとされていますが、一方で特定の資格を持つことで、就職・転職活動が有利に進むことは間違いありません。
また、資格取得を通じて得た知識やスキルは、仕事をこなす上で大いに役立ちます。本記事では、品質保証の仕事に有用な資格とその取得メリット、そして効果的な学習方法について解説します。
品質保証の仕事を目指す方、既に従事している方も、ぜひ参考にしてみてください。
目次
品質保証の仕事に就くには?おすすめの資格を紹介
実は品質保証の仕事には、特定の資格は必要ありません。まったくの無資格であっても、品質保証の専門家になることは可能です。ただし、取り扱っている製品やサービスによっては、応募にあたって特定の専門知識が求められる場合があります。
また、一定の資格を保持しておくと、品質保証の仕事に大変役立ちます。品質保証の仕事を目指すのであれば、次のような資格の取得がおすすめです。
品質管理検定(QC検定)
品質管理検定(QC検定)とは、一般社団法人日本品質管理学会(JSA)と一般財団法人日本技術連盟(JUSE)が認定している、品質管理に関する知識を客観的に評価する検定です。QCとは「Quality Control」の略称で、品質管理を意味します。
「品質保証と品質管理は違うものでは?」と思う人もいるかもしれません。しかし、品質保証の仕事と品質管理の仕事は重なる部分が多く、両方の業務を同じ部署や人員が担当することが珍しくありません。そのため、品質保証の仕事を探すにおいて品質管理検定は大いに役立ちます。
品質管理検定は1級から4級に分かれています。品質保証の仕事を探すのであれば、3級を目指すとよいでしょう。品質管理検定3級の合格率はおよそ50%前後とされているので、難易度としてはそれほど高い試験ではないといえます。試験は例年3月と9月に全国主要都市で実施されています。
JSQC認定品質技術者
JSQC認定品質技術者は品質管理検定の上位資格で、品質技術者と上級品質技術者の2種類があります。品質技術者は高度な品質技術に関する能力を持つと認定された技術者です。上級品質技術者は、品質技術者よりもさらに高度な技術を有するだけでなく、品質技術の普及・発展に貢献できる技術者であると認定された者に与えられます。
資格を取得すれば、高度な品質管理技術知識やスキルを持っていることのアピールができるでしょう。ただし、JSQC認定品質技術者は試験の合格だけでは取得できないので注意が必要です。
品質技術者となるには「品質管理検定2級」であることにくわえ、過去5年以内に「換算ポイントを8点以上取得」しなければなりません。上級品質技術者となるには「品質管理検定1級」を取得し、かつ、過去5年以内に「実績の換算ポイントを10点以上」得る必要があります。
なお、実績の換算ポイントは、日本規格協会や日本科学技術連盟が主催しているシンポジウム・研究会・講演会・講座への参加や発表、論分の提出、関連雑誌への記事の寄稿などで得られます。
ソフトウェア品質技術者資格(JCSQE)
ソフトウェア産業の品質保障に役立つ資格として注目を集めているのが「ソフトウェア品質技術者資格(JCSQE)」です。これは、ソフトウェアの品質向上を目的として「一般財団法人日本科学技術連盟(JUSE)が認定している資格です。この資格を取得すれば、ソフトウェアの品質向上に役立つ知識を、包括的かつ体系的に身に付けていることが示せます。
ソフトウェア品質技術者資格は、2023年の時点では初級・中級の2段階。初級試験は6月と11月に、中級試験は11月に試験があります。上級試験については、今後設定されるそうです。なお、初級・中級ともに受験資格の定めはありません。誰であっても受験可能です。初級試験に合格していなくとも中級試験は受けられます。
その他のおすすめ資格
以前にオモシゴジャーナルで実施した、製造業の中核を担う30〜49歳の技術職413名を対象にした資格に関する調査では、品質保証の技術者は以下の資格をおすすめと選んでいます。
C言語やJava™のプログラミング能力認定試験は、品質保証の過程で必要なソフトウェアのテストプロセスを理解するために重要です。
ITパスポート試験は、幅広いIT知識の獲得に貢献します。システムアーキテクト試験は、品質保証の観点からシステム設計とアーキテクチャに対する理解を深めるのに有益です。
統計検定は、データ分析と統計学の知識を深めるための資格であり、品質保証のプロセス改善に貢献します。
さらに、高度な技術スキルと知識が必要な場合には、技術士の資格が推奨されています。
これらの資格は、品質保証の専門性を深め、信頼性と競争力を高めるために重要なツールとなります。
参考:【REPORT】技術者・エンジニア おすすめの資格|オモシゴジャーナル
3つの点で有利になる!品質保証に有利な資格取得を目指す具体的メリット
資格取得を目指すことには、以下のような3つのメリットがあります。
自分の持つ知識やスキルを証明できる
品質保証に関する知識は大学や専門学校ではほとんど学ぶ機会がないため、学歴や学位あるいは単位といったものでは、品質保証の知識の証明はできません。自分の持っている知識を企業にアピールするには、知識を証明してくれる資格が必要になります。また、資格を取得しておけば、自分の専門性をアピールしやすくなるので、キャリアチャンスが広がる可能性が高まります。
仕事探しで有利になる
品質保証や品質管理の知識はどこの企業においても必要な知識のため、資格取得者は何らかの形で企業に貢献できる可能性が高いです。そのため、資格を取得しておけば、転職の際に有利になるでしょう。面接の際には、自分をアピールできるポイントにもなります。また、資格を取得しておけば、採用の際に待遇面の向上も期待できるでしょう。
知識を体系的に学べる
品質保証の仕事に必要な知識というものは、就職後に企業内で学ぶことが多いです。しかし、企業内で学ぶ知識は体系的にまとまっていないケースがよくあります。体系的にまとまっていない知識は、覚えづらくなかなか学習が進みません。誤った情報を覚えてしまうリスクもあります。資格試験という形で勉強しておけば、品質保証や品質管理といった知識を、1つの体系として学べるので、学習効率がよいというメリットがあります。また、体系として学んだ知識は、忘れにくく応用も効きやすいので、実践でも役立つことでしょう。
資格を取得するための効果的な学習方法
資格試験で学ぶ知識は専門性が高いため、テキストに目を通しただけで覚えることは難しいでしょう。品質保障に関わる資格を取りたいのであれば、次のようなポイントを押さえて学習することをおすすめします。
何度も過去問を解く
資格試験の勉強では、講座を受講したり、テキストを読んだりなど、情報のインプットが重視されがちです。ですが、情報のインプットだけで合格に至るのは非常に困難です。インプット後は、すぐに問題を解くなどして、情報のアウトプットに力をいれてください。アウトプットの方法では、過去問を何度も繰り返しとくことがおすすめです。なぜなら、過去に出題される問題は、覚えるべき重要なポイントが大多数を占めているからです。
初級レベルから学習する
資格試験はグレードが設定されていることが少なくありません。無駄な勉強や支出を減らしたいと考え、中級や上位の試験のレベルから学習を始めようとする方がいますが、学習効率的には、あまりおすすめではありません。なるべくなら、初級の段階から学習するようにしましょう。そのようにすることで、知識を学ぶための土台が作りやすくなり、結果的に早く全体の学習が終わることが多いからです。
資格取得は転職に有利?
品質保証の仕事は資格がないとできない仕事ではないため、転職において評価されるのは、当然ながらどういう実務経験があるかになります。
その上で、取得する資格によって、品質保証の仕事でどういうキャリアを目指しているのかが見えてきて、どういう企業から面接に呼ばれるかについても影響が出てきます。
例えば、ISO9001内部監査員資格は、品質マネジメントシステムの監査や評価にかかわる機会がある(またはその機会を得たい)人には有効な資格です。ISO9001を取得している企業で活躍期待が持てますし、取得をしたい会社にとってはその推進役が期待できます。
SixSigmaのグリーンベルトやブラックベルトは、複雑な製造・設計プロセスの改善や問題解決に有効で、こうした製造メーカーにおけるプロセス改善リーダーとしての役割を期待する事ができるでしょう。
紹介したJSQC認定品質技術者は、品質保証のエキスパートとして広い知識と経験を証明するものとなります。将来的に品質保証の中核人材を確保したい会社から必要とされる可能性が出てきます。
取得する資格を通じて、品質保証としてどういうキャリアを目指していきたいか、を考えることも大切です。
品質保証の仕事を目指すなら資格を取得しよう
品質保証の仕事に就きたいのであれば、基本的に資格は必要ありません。しかし「品質管理検定」「JSQC認定品質技術者」「ソフトウェア品質技術者資格」といった資格を持っていれば、品質保障の仕事が見つけやすくなるでしょう。
また、品質保障に関するこれらの資格を取得するために得た知識は、一般企業の業務の多くで役立たせられます。そのため、これらの資格を取得すれば、会社内でのキャリアアップの期待もできるでしょう。
制作協力:オモシゴジャーナル編集部
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