コラム
電気設計に資格は必要?おすすめの資格・検定を紹介

電気設計は、家電の製造やIoTの導入において必要不可欠なスキルですが、職場によっては経験や実績だけでなく、資格を求められることも少なくありません。
そこでこの記事では、電気設計の経験を活かして転職する場合、資格が必要になるのか、スキルアップを目指すときにどのような資格を取得すれば良いのか?などについて見ていきます。
電気設計の業務は広範にわたり、主にハード系を扱う「電気設計」とソフト系を扱う「制御設計」に分けることができます。それぞれ電気・電子分野において重要な分野でどちらも関連性は高いですが、担当する範囲は異なります。
ただし、電気設計と制御設計の両方ができる技術者も存在し、両者が統合的にできることで、より効率的なシステム設計ができるようになります。
この記事では主にハード系の設計を担う「電気設計」について解説します。
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目次
電気設計の仕事とは
電気設計は、電気製品の設計や製造にかかわる仕事です。一般的な家電製品の設計や製造だけでなく、トラブルが発生した時の原因の追及や改善まで含まれているため、幅広い知識やスキルが必要となります。
家電製品と一口に言っても、家庭用の電化製品だけでなく、自動車の部品や建物の設備など広範囲に及ぶため、転職活動の際は募集されている業種やどのような技術を必要としているのかをしっかり確認することが重要になってきます。
電気設計の担当者は、基本的にこれまでの実績や知識を求められるだけでなく、さらに専門的な知識やスキル、トラブルが発生した時の対応力まで求められます。また、どのような能力を持っているのかを実績だけでなく資格で判断されることも少なくありません。
電気設計に必要な資格とは
電気設計で転職活動をする際に、どのような資格が求められているのでしょうか。電気設計に関する資格は様々な種類があり、難易度も資格によって大きな開きが見られます。中には、難易度が高い国家資格も含まれており、取得することは容易ではありませんが、取得することでアピールすることができる資格もあります。
まず、電気設計で取得しておきたい資格の一つが電気工事士です。電気設計を行う上で多くの技術者が受験している資格の一つですが、第2種は比較的容易に取得できる資格でありながら、幅広い産業分野の求人で判断基準にされていますので、転職活動をする際にぜひ取得しておきたいところです。電気主任技術者も第一種~第三種まである国家資格で、難易度が高い試験ですが企業が採用する際に判断基準として検討することが多いため、取得しておきたい資格の一つと言えます。
この他にも、電気通信設備全体の管理や監督を行う電気通信主任技術者や、電気工事の施工管理に関する知識やスキルを有していると証明される電気工事施工管理技士などは電気設計の転職において有利に働きやすい資格です。転職先の業種にもよりますが、将来的に転職を検討しているのならば、これらの資格をどんどん取得していった方が良いでしょう。
電気設計の基本スキル
電気設計を行う際に、必須の資格というものはありません。しかし、電気設計の仕事をする上で基本的なスキルは必要です。全く何の知識も持たない人が電気設計を行うことは困難です。以下に、電気設計で求められる基本的なスキルを見ていきましょう。
必要となるスキル
電気回路図や回路図記号、電気シンボルを読み書きできるスキルは必要不可欠です。点と線そして様々な記号で表記された回路図のシンボルを理解して設計業務を行ったり、回路図を作成したりするためには必須のスキルと言えます。
電気・電子工学などに関する専門的な知識も必要不可欠です。具体的には、電力工学や電子工学・制御工学・信号処理などの知識がなければ電気設計を行うことはできません。電気や回路、信号に関する知識、電力や抵抗などの基本的な知識を有していなければ、安全で安定した電気設計を行うことは不可能です。
これらの知識はどの分野も難易度が高く、知識を身につけるだけでなく、高度な理解力が求められますが、電気設計を行う上で必要な内容ですので、資格取得の前にしっかり自分のものにしておかなければなりません。
どのような仕事でスキルを活かせるか
このような高度な知識を、電気設計でどのように活用するのでしょうか。個別の資格は業種によって重要度が異なりますが、一般的には、電気設計の知識は自動車部品の中でも電気設計のスキルが必要なものの製造や、巨大なビル内の配線や照明、セキュリティ、通気や排気システムなどの電気系統、工場などの生産ラインで活用されています。
いずれも日常生活に欠かせない存在であり、かつ、トラブルが発生すれば大きな影響を与える内容ばかりですので、企業側でも優秀な電気設計の知識や実績を持つ人材は重宝されています。
電気設計で転職・スキルアップにおすすめの資格
電気設計は基本的に難易度が高い仕事のため、重宝される傾向にあります。しかし、転職やスキルアップを目指したい場合には、やはり自分が進みたい分野で有利な資格を取得しておくに越したことはありません。
電気工事士
建築現場や建物の電気系統に関する仕事をする場合には、電気工事士の資格がおすすめです。電気工事士は電気設計に関する基本的な知識を学べますので、初心者が資格取得を目指すことで電気設計に必要な知識も身につけることができるでしょう。
第二種電気工事士は年2回の試験があり、比較的易しい難易度で、一般住宅や小規模店舗の低圧電気工事に対応できる知識を問う試験です。一般住宅や小規模な施設の電気工事に関われるだけの知識やスキルが身につきます。
一方、第一種電気工事士は年1回の試験で難易度が高く、第二種の低圧電気工事に加えて高圧電気工事に対応できる知識が求められます。第一種を取得すれば、ビルや工場のような大規模な施設の電気工事、高圧送電線のようなより高度な設備の電気工事に関わることも可能です。
電気主任技術者
電気主任技術者は電気系統で広範囲に需要がある資格です。第一種から第三種まであり、難易度が高いので取得は容易ではありませんが、電気設計の業界においても、社会的にも高く評価される資格と言えます。
電気主任技術者の資格を取得すると、電気設備の管理や電気工事の監督など、無資格者では担当できない仕事を任されることもありますので、やりがいがあります。難易度が高い資格を取得することで、取り扱えるようになる設備や工事の電圧上限が変わってきますので、既に資格を取得している人もより上位の資格を目指すと良いでしょう。
電気主任技術者の資格は、取り扱うことができる電圧によって、第一種から第三種までの3種類あります。
・第一種:すべての事業用電気工作物
・第二種:電圧が17万ボルト未満の事業用電気工作物
・第三種:電圧が5万ボルト未満の事業用電気工作物(出力5千キロワット以上の発電所を除く)出典:https://www.shiken.or.jp/chief.html 、2023年4月
電気通信主任技術者
電気通信主任技術者は、電気通信ネットワークの工事や維持、運用において監督責任者になるために必要な知識を持つ資格です。通信関係の業務に従事する場合には、非常に重要な資格と言えます。
電気通信事業者が設備工事を行う際には、電気通信主任技術者資格を持つ技術者を選任する必要があります。通信事業関係の企業に転職を希望する場合には、転職活動を始める前に資格を取得しておくと、有利に働くことが期待できます。
電気工事施工管理技士
電気工事施工管理技士は建築関係で需要が高く、建造物の電気工事において施工計画や工程管理、安全や品質の管理などを行う資格です。1級と2級があり、1級は規模の大きい案件で活躍できるのに対し、2級は中小規模の建設現場で活躍できます。資格取得には実務経験や電気工学の基礎知識、法規に関する知識が求められ、難易度は高いですが、取得している技術者が少ないため転職で有利に働くことが期待できます。
資格があれば転職に有利?企業が求める人材像
紹介した資格は設計した機械・設備の設置工事、設置後の点検、トラブル対応なども対応できるため、技術者として守備範囲を大きく広げることになります。
ベンダー側の技術者であれば、自らが設置立ち合いをする際の実務、客先対応で力を発揮。ユーザー側であれば自社工場の設備点検などにも対応ができるようになります。
こうした資格を持つ電気設計技術者は多くないため、転職市場における希少価値は高くなり、転職により待遇UPに成功することもできます。
また、転職をしなくても社内で希少人材になることができ、その結果、年収を上げていくこともできます。
但し、有資格者の中には転職のしやすさが仇となり、何度も転職を繰り返した結果「技術力は魅力だが扱いにくそう」「ジョブホッパー」という評価を受ける人も出てきます。
転職が一般的になっている今の時代ですが、採用難の中で人材確保をしたい採用企業側も、定着は求めてきます。採用側のニーズを理解しておくとよいでしょう。
まとめ
このように、電気設計は必ずしも資格の取得が求められる業務ではありませんが、難易度の高い資格を有しているとできることが増えて、就職活動でも有利に働く可能性が高くなります。
国家資格も多いため、難易度は高いですが、一度取得すれば自分の資格として一生アピールすることができますので、ぜひ需要の高いものから挑戦していきましょう。
制作協力:オモシゴジャーナル編集部
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