コラム

制御設計エンジニアのためのスキルアップ!おすすめの資格と取得方法は?

制御設計エンジニアは、自動車、航空機、ロボットなどの高度な制御システムを開発する上で欠かせない存在です。この分野では、電気・電子工学や制御理論、数値解析などの専門知識が必要とされます。それだけではなく、制御設計エンジニアには幅広いスキルが求められます。

そこでこの記事では、制御設計エンジニアがスキルアップするために、おすすめの資格とその取得方法について紹介します。

 

電気設計の業務は広範にわたり、主にハード系を扱う「電気設計」とソフト系を扱う「制御設計」に分けることができます。それぞれ電気・電子分野において重要な分野でどちらも関連性は高いですが、担当する範囲は異なります。

ただし、電気設計と制御設計の両方ができる技術者も存在し、両者が統合的にできることで、より効率的なシステム設計ができるようになります。

この記事では主にソフト系の設計を担う「制御設計」について解説します。

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制御設計の平均年収は?

まずは制御設計の平均年収について確認しましょう。

制御設計の平均年収

求人ボックスのデータによると、正社員として働く制御設計のエンジニアの平均年収は、およそ466万円です。制御設計の平均年収が他の業種の平均年収と比較して高いかどうかを知りたい場合には、国税庁が実施した令和3年分の民間給与実態統計調査を参考にできます。

この調査によると、令和3年12月31日時点における給与所得者の総数は、およそ5,931万人でした。この中で、1年を通して働いていた給与所得者の数はおよそ5,270万人です。これらの人の平均給与は約443万円でした。この平均年収と比較すると、制御設計のエンジニアの平均年収は23万円ほど多いことがわかります。

制御設計の平均月収と他の業種と平均月収

正社員として働く制御設計のエンジニアの平均年収の約466万円から、賞与を計算せずに12で割ると、制御設計の仕事をしている人の平均月収はおよそ39万円です。上記の民間給与実態統計調査から給与所得者全体の平均所得を12で割ると、およそ37万円となるので、制御設計のエンジニアの方が、月収も2万円ほど多いです。

なお、制御設計をしている人の平均的な賞与は、公開されているデータがないので詳細は不明です。

会社規模による特徴:中小企業・大企業

制御設計エンジニアの年収は、企業規模によって異なる傾向があります。

中小企業の特徴

中小企業においては、一般的に年収が低い傾向があります。中小企業は、大企業に比べて資金や人材の制約があるため、制御設計エンジニアの給与水準が高くなりにくい傾向があります。

また、中小企業には大手企業のような福利厚生が整っていないことが多く、福利厚生の面でも大手企業に比べると不利な場合があります。

大企業の特徴

大企業においては、年収が高い傾向があります。大企業は、資金や人材に余裕があり、制御設計エンジニアにとって有利な給与水準を設定することができます。

また、大企業は福利厚生が整っていることが多く、退職金や社員旅行などの福利厚生があります。

ただし、大企業においても、業界や職種によって年収にばらつきがあります。大企業であっても、一部の特定の部署やプロジェクトに限って年収が高い場合があります。

企業規模だけでなく、職種や業界なども踏まえた上で、自分自身のスキルや経験に見合った年収を求めることが大切です。

地域による特徴:関東・関西ほか

地域によっても年収に違いがあります。

関西地方で働く人の平均年収

制御設計のエンジニアの平均年収は、働いている地域によっても違いがあります。日本国内の中でも、制御設計のエンジニアの平均年収が特に高いのは関西地方です。関西地方で制御設計をしている人の平均年収は、およそ491万円でした。

関西地方でも特に平均年収が多いのは大阪府で、499万円です。関西地方で2番目に制御設計のエンジニアの平均年収が多いのは奈良県と滋賀県で、いずれも平均年収は497万円です。関西地方の中でも制御設計のエンジニアの平均年収が490万円を超えているのはこの3つの自治体だけです。

関東地方で働く人の平均年収

国内で、関西地方に次いで制御設計のエンジニアの平均年収が高いのは関東地方です。関東地方で働く制御設計のエンジニアの平均年収は、およそ482万円でした。関東地方の中でも特に制御設計のエンジニアの平均年収が多いのは東京都で、520万円です。これは関西地方で一番平均年収が多い大阪府よりも、30万円近く多い金額です。

こうしたデータから、東京で働く制御設計のエンジニアの平均年収は、全国でもトップクラスであることがわかります。関東地方で平均年収が2番目に多いのは神奈川県で、511万円です。3番目に多い茨城県も平均年収は507万円で、これらの地域は関東地方の他の県と比較しても、平均年収が大幅に多いです。

東海地方で働く人の平均年収

関西地方と関東地方の次に、制御設計のエンジニアの年収が高いのは東海地方です。この地域で制御設計の仕事をしている人の平均年収は、およそ446万円です。関西地方で働く制御設計のエンジニアと比較した場合45万円ほど平均給与は少ないですが、日本の給与所得者の平均年収である433万円よりは、10万円以上多いです。

東海地方で一番平均年収が多いのは愛知県で、457万円です。その他に静岡県と三重県も、東海地方全体の平均よりも平均年収が多いです。

年収をアップさせるには?

制御設計のエンジニアが今よりも年収を増やしたい場合には、自分の努力でできることも多くあります。ここでは、制御設計のエンジニアが年収をアップさせるための方法について、いくつかご紹介します。

情報処理の資格を取得する

制御設計の資格を取得したい人は、仕事と関係のある各種の資格を取得することで、より年収の多い仕事を見つけられることがあります。制御設計ができる人材を募集している求人の中には、特定の資格を取得していることが応募の条件になっていることもあるので、多くの資格を取得しておいた方が、求人にも応募しやすくなります。

制御設計の人が転職をしたい時に持っていると役立つのは、情報処理に関する資格です。情報処理に関する基本的な資格として多くの人が取得をしているのは、基本情報技術者です。より高いレベルの資格を取得したい人は、応用情報技術者の試験を受験することもできます。

電気設備を扱うための資格を取得する

制御設計のエンジニアは、電気設備を取り扱うための専門資格も取得しておいた方が、条件の良い転職先を見つけやすくなります。

制御設計の仕事をしている人が取得しておけば役立つのは、電気主任技術者の資格です。制御設計の求人の中には、工場やビル内の設備の管理を担当する仕事もあるので、電気主任技術者の資格を持っていれば、このような求人にも募集できます。

電気製図の資格を取得する

転職をして年収を増やしたい制御設計のエンジニアは、電気製図技能士の資格を取得することもできます。この資格を取得していれば転職が有利になるのは、制御設計の仕事は製図の能力も必要になるからです。製図の技術を持っている人材を求めている企業も多いので、条件の良い求人も見つけやすくなります。

この資格を取得するためには国家試験に合格することが必要になり、製図だけでなく電子回路に関する知識の習得も必要です。

仕事の経験を増やす

制御設計の仕事をした経験を増やすことでも、年収を増やすことは可能です。制御設計の求人をしている企業では、即戦力となる人材を募集していることも多いので、制御設計の仕事をしたことがある人を積極的に採用しています。

シーケンス制御の仕事の経験を持つ人材を募集している求人もあり、制御装置を使用して仕事をした経験を持つ人材を募集する企業もあります。さまざまな種類の制御設計の仕事をした経験を持っていれば、こうした求人にも応募できます。

技術者の転職成功のためには

制御設計技術者が転職で年収を上げていく場合、自分はどういう種類の制御が一番強いかをまず考えます。

制御設計の基本的な原理は同じでも、「家電製品」「自動車」「FA」「BA」「インフラ(上下水道、発電など)」など、製品領域ごとに重視される自動制御の種類、制御対象、目標値が変わってきます。

自分が経験してきた領域が、一番力を発揮しやすく、お金を稼ぎやすくなるので、「どの強みを活かすのか?」で考えていくと良いでしょう。

また、

  • メーカーであれば、転職先が新規開発を積極的に行っている
  • 請負、受託系の会社であれば、優良企業と直接取引ができる位の高い技術力がある
    なども重要です。

これらは、技術力を強みに利益を取引先から取れているかを見る目安となります。個人として技術力があっても、会社が利益が取れていなければ技術者に還元はされず、思うように年収を上げていけません。

転職先の経営陣が技術者に惜しみなく還元する考え方があるかも加味して考えていくと良いでしょう。

転職により増やすこともできる制御設計の年収

制御設計のエンジニアの平均年収は、給与取得者全体の平均年収よりも多いです。ですが、人によって年収には大きな差があります。平均年収以下の年収で働いている制御設計のエンジニアもいる一方で、500万円以上の年収を得ているエンジニアもいます。

制御設計のエンジニアが年収を増やすためには、仕事に役立つ資格を取得したり、経験を増やすことが必要です。今よりも条件が良い職場を見つけられれば、年収を大幅に増やすことも可能です。

 

(出典)

 

 

 

制作協力:オモシゴジャーナル編集部

 

 


制御設計に資格は必要?

制御設計に資格が必要かどうかは、その資格の種類や取得者の目的によって異なります。一般的には、制御設計に必要なスキルや知識は、大学や専門学校で学ぶことができます。さらに、実務経験を積むことで、技術力を向上させることができます。しかしながら、特定の業界や企業での採用条件として、指定される資格を持っていることが求められる場合があります。

たとえば、自動車メーカーでの就職を目指す場合には、自動車技術者資格や自動車検査員資格を取得することが求められることがあります。また、海外での仕事を目指す場合には、その国で認められた資格を取得することが必要になることもあります。

資格を取得することによって、自分自身のスキルアップやキャリアアップにつなげることができます。たとえば、制御設計エンジニアが目指すべき資格としては、制御工学認定試験や、電気・電子系の技術者資格、プロジェクトマネージャー資格などがあります。

ただ、資格取得には一定のコストや時間がかかるため、目的や将来のキャリアプランに合わせて、必要な資格を選択することが重要です。

制御設計エンジニアの資格を取得する利点

以下のようなポイントが挙げられます。

資格取得によって専門性が高まる

資格は、その分野で必要とされる知識や技術を学ぶことができます。そのため、制御設計エンジニアが持つ資格は、業務で必要とされるスキルや知識を高めることができるため、スキルアップにつながります。

業界での信頼性が高まる

特に、一定の実務経験を積んでいない若手エンジニアにとっては、資格取得によって業界内での信頼性が高まります。認定試験や資格取得には一定の難易度があり、その難易度をクリアすることで、自信にもつながります。

キャリアアップにつながる

資格は、就職や昇進などのキャリアアップにも役立ちます。大企業や政府機関では、資格を保有している人を重視する制度が存在する場合があります。他にも、海外での仕事に応募する場合に、資格保有者は有利になることがあります。

以上のように、制御設計エンジニアが資格取得を検討する場合には、目的や将来のキャリアプランに合わせて必要な資格を選択することが重要です。

基本スキルとしておすすめの資格

制御設計に必要な基本スキルとして、以下の資格がおすすめです。

制御工学認定試験

制御工学認定試験は、制御工学の基礎知識や制御設計の実務能力を認定する資格試験です。日本工学アカデミーが主催しており、実務経験を要件としないため、学生や新卒者でも受験することができます。

電気・電子系の技術者資格

電気・電子系の技術者資格には、電気主任技術者、電気工事士、電子通信工事担任者などがあります。これらの資格は、電気・電子機器の設計や保守に必要な知識や技能を認定するものであり、制御設計においても重要な基礎知識となります。

プロジェクトマネージャー資格

プロジェクトマネージャー資格は、プロジェクトの計画・進捗管理やコスト管理などを行うためのスキルを認定するものであり、制御設計プロジェクトのマネジメントに必要なスキルとなります。主な資格には、PMP(Project Management Professional)、APM(Associate in Project Management)などがあります。

これらの資格は、制御設計エンジニアにとって基本的なスキルを身につけるために有効な手段であり、自己啓発やスキルアップにも役立ちます。ただし、必要なスキルや知識を持っている場合には、資格取得に時間や費用をかける必要はありません。

転職・スキルアップにおすすめの資格

制御設計エンジニアの転職やスキルアップにおすすめの資格として、以下のものがあります。

制御技術者試験

制御技術者試験は、日本自動制御協会が主催する資格試験で、制御設計や制御システムの保守・修理などの技術者としての能力を認定します。特に、経験や知識が豊富であることが求められるため、転職時のスキルアップには有用な資格と言えます。

ロボット技術者検定

ロボット技術者検定は、ロボットシステムやロボット制御の基礎知識や技術能力を認定する資格試験です。制御設計の分野においても、ロボットの制御技術が重要な役割を担っているため、この資格を取得することで転職時のアピールポイントになる可能性があります。

国際制御工学技術者認定試験(CEng)

国際制御工学技術者認定試験(CEng)は、英国制御工学協会が主催する資格試験で、国際的な制御技術の専門家として認定されることができます。制御設計において、国際的な競争力を持つためには、このような資格を持つことが有利になる可能性があります。

ITパスポート

ITパスポートは、ITの基礎知識を認定する資格試験です。制御設計においても、情報技術に精通することが必要となるため、この資格を取得することで、幅広い知識を身につけることができます。

ただし、制御設計に特化した資格というわけではないため、必ずしも取得が必要というわけではありません。自己啓発の計画を立てる際には、自分自身が持つべきスキルセットや将来のキャリアについても考慮することが大切です。

PMP(Project Management Professional)

PMPは、プロジェクトマネジメントの国際的な資格で、プロジェクトを成功に導くための知識と技能が評価されます。制御設計エンジニアがプロジェクトリーダーとしての役割を担う際には、プロジェクトマネジメントに関する知識が必要となります。PMPを取得することで、プロジェクトマネジメントの専門知識を身につけ、リーダーシップを発揮できるようになります。

AWS認定ソリューションアーキテクト

AWS認定ソリューションアーキテクトは、AWSクラウド上でのアプリケーション設計に必要な知識と技能を認定する資格です。制御設計においても、IoT技術の発展に伴い、クラウドを活用したシステム構築が求められるようになっています。AWS認定ソリューションアーキテクトを取得することで、クラウド上でのシステム構築に必要な知識や技能を習得できます。

これらの資格は、制御設計エンジニアの転職やスキルアップにおいて、有用な手段となることが期待されます。ただし、資格取得には費用や時間がかかるため、自己啓発やスキルアップの計画を立てる際には、目的や状況に合わせた適切な選択が求められます。

技術者が転職を成功させるためのポイント

制御設計技術者が転職を考える場合、どういう製品、どういう種類の制御を扱ってきたかで考えていきましょう。

制御設計の基本的な原理は同じであっても、「家電製品」「自動車」「FA」「BA」「インフラ(上下水道、発電など)」など、製品領域ごとに重視される自動制御の種類が異なります。

それに伴い、制御対象や目標値も変わってきます。

これまでの開発経験を振り返って、自分がどういう制御に強いのか?を理解する。

その上で、「どの強みを活かすのか?」「新たにどういう制御技術を身につけ技術者として成長したいのか?」を考えていくと良いでしょう。

資格取得は、実務で身につけた知識を体系立てて整理して我流になっている部分の補正をし、専門知識の棚卸もかねて行う。また、次に狙う転職先ターゲットに入る前の事前準備として、新たな知識を身に付け、順応しやすくするために行うと効果的です。

まとめ

制御設計エンジニアにとって、専門知識や技能を証明する資格を取得することは、転職やスキルアップに役立ちます。この記事で紹介したように、制御設計に関連する資格は存在しますが、それらが必ずしも制御設計において必要というわけではありません。

自己啓発の計画を立てる際には、自分自身が持つべきスキルセットや将来のキャリアについても考慮することが重要です。適切な資格取得には、目的や状況に合わせた選択が必要です。

ただし、取得に費用や時間がかかるため、計画を練る際には、自分自身の状況をよく把握し、優先順位をつけることが大切です。

 

制作協力:オモシゴジャーナル編集部

 

 

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