コラム

機械設計の年収・給料はどれくらい?業界の相場や平均金額を解説

機械設計の仕事に興味を持ったときに、平均年収が気になるという人も多いでしょう。

今の仕事の給料が業界の相場よりも低いなら、転職してより良い待遇を受けられるようにしたいと考えるのももっともなことです。

この記事では機械設計の平均年収と会社規模や地域による特徴をまとめました。今後の年収アップのためのポイントも紹介するので参考にしてください。

 


機械設計の平均年収は?

年齢や会社の規模にもよりますが、機械設計の平均年収は400万円〜550万円程度です。

機械設計の職種だけに特化して網羅的に調査したデータがあるわけではないので、厚生労働省の賃金構造基本統計調査や各求人サイトの公表データを参照した数値です。

賃金構造基本統計調査では、機械技術者の平均年収は587万円、ハローワークの求人統計データ​​では企業が募集時に提示する求人賃金(月額)​​27.3万円となっています。

機械技術者の仕事には機械設計以外も含まれているので一概にこの金額が平均的だと断言できるわけではありませんが、同じ分野の技術職として参考になるでしょう。

また、新卒採用者は大学院卒が多くなるため、初任給は比較的高い傾向にあります。収入は安定しているといえますが、業界の特性として市況の影響を受けることがあります。

参照:職業情報提供サイト(日本版O-NET)

会社規模による特徴

機械設計の仕事では会社規模によって年収に違いがあります。

ここでは賃金構造基本統計調査の機械技術者における集計データを参考にしながら、中小企業と大企業での給料の違いを見ていきましょう。

  きまって支給する現金給与額 年間賞与
その他特別給与額
平均年収
  所定内給与額
機械技術者 千円 千円 千円 千円
企業規模計(10~99人) 351.6 319.7 783.6 5002.8
企業規模計(100~999人) 371.4 327.8 1165.4 5622.2
企業規模計(1,000人以上) 411.1 354.5 1677.4 6610.6

賃金構造基本統計調査を元に作成

賃金構造基本統計調査による平均年収・月収・ボーナスの違い

賃金構造基本統計調査では会社の従業員規模に応じた給与の違いをまとめています。

機械技術者の平均年収・月収・ボーナスを比較すると、企業規模が大きいほど高い傾向があることがわかります。1000人以上の規模の大企業では、平均年収が661万円、月収が41万円、ボーナスが168万円です。100人以上999人以下の規模の企業では、平均年収が562万円、月収が33万円、ボーナスが117万円になっています。

さらに従業員が少なく、10人以上99人以下の規模の企業では、平均年収が500万円、月収が35万円、ボーナスが78万円となっており、会社規模の違いによって給料には差があることがわかります。

中小企業の給料の特徴

中小企業の給料は単純に大企業に比べて低いだけでなく、ボーナスが少ないのが見てとれます。

100人以上の中小企業の場合には年間に月収の3倍少々のボーナスが出ていますが、10〜99人規模の企業になると月収の2倍少々の金額になっています。

大企業の場合には月収の4倍以上のボーナスが支給されているので、年収に大きな差を生み出す原因になっているのは明らかでしょう。

また、中小企業ではボーナスをそもそも出していないケースもあれば、逆に従業員への還元として十分に支給するケースなどさまざまです。

統計データでは平均化されているため、中小企業では2か月分〜3か月分のボーナスをもらえると考えるのではなく、実際には勤め先によって大きな違いがあることを理解しておきましょう。

中小企業の技術者は、対応する工程が広く、且つ下請けや協力会社を使わず自分たちで手を動かして設計をしている人が多いため、実際には技術力が高い人は多くいます。

会社としても技術力に秀逸な企業は多く、いわゆる「ニッチトップ」企業も多く存在。他社が参入できないレベルの高い製品を開発・製造しています。

一方、その「ニッチな」市場が単価の高い市場であるかはまた別問題。単価が取りにくい業界もあり、一般的に技術力は高くても、技術者の給料に反映されているかはまた別問題。

大手上場企業に匹敵する給料を出している会社もあれば、そこまで出せない会社もあり、中小企業内でも格差が大きく存在します。

大企業の給料の特徴

大企業の給料はボーナスの比率が高いため、業績による影響を受けるのが特徴です。

ボーナスは企業が収益を出したときに一部を従業員に還元する目的で支給されているのが一般的ですが、業績が悪化するとボーナスを減らしたり、支給しなかったりする場合もあります。

もちろん業績が悪くても従業員のモチベーションを上げるためにボーナスの支給を続ける場合もあります。

平均年収を考えるとボーナスの寄与が大きいため、大企業で働く場合にはボーナスの支給についての企業としてのスタンスを確認しておいた方が良いでしょう。

また、大企業は、その所帯の大きさから資金が豊富で、毎月の給料、賞与のベースそのものが高いのは事実です。

また、モノづくりにおいても数多くの下請け、協力会社を使って進めているところが大多数。中小規模以上に効率よくモノを作り、稼いでいることが給料の高さの要因にもなっています。

地域による特徴

機械設計の年収には地域差もあります。ここでは求人サイトにおける集計結果を参考にして地域ごとの平均年収と特徴をまとめました。どの地域で働くと稼ぎやすいのかを見ていきましょう。

北海道・東北地方

北海道・東北地方の平均年収は399万円です。東北の地方都市の仙台市がある宮城県での年収が高めになっています。北海道や岩手などでも求人が比較的多くて転職しやすい傾向があります。

関東地方

関東地方の平均年収は464万円です。東京都の年収は全国でトップになっていて、525万円になっています。求人募集が関東全域で比較的多く、転職しやすい地域です。

甲信越・北陸地方

甲信越・北陸地方の平均年収は398万円です。山梨県と長野県での年収水準が比較的高く、機械設計の求人がよく出ています。

東海地方

東海地方の平均年収は423万円です。工場が林立する三重県での平均年収が高く、愛知県がそれに続いています。全体として機械設計の求人が豊富で転職先を探しやすい傾向があります。

関西地方

関西地方の平均年収は446万円です。奈良県では機械設計の年収水準が高いですが、求人の豊富さでは関西の首都と言われる大阪府の方が多めです。滋賀県も比較的年収水準が高く、求人も多くなっています。

中国地方

中国地方の平均年収は406万円です。山陰よりも山陽の方が求人が多く、年収も高いのが特徴で、岡山県と広島県が中心地域になっています。

四国地方

四国地方の平均年収は428万円です。四国地方では愛媛県と香川県での機械設計の募集が活発です。平均年収もこの2県では450万円近いので、四国地方で機械設計の仕事をするなら魅力的な場所でしょう。

九州・沖縄地方

九州・沖縄地方の平均年収は406万円です。地方都市の博多がある福岡県では平均年収が高くなっていますが、他の地域ではあまり大きな違いがありません。九州・沖縄地方で働くなら福岡県で仕事を探すと年収を上げやすいでしょう。

参照:求人ボックス 機械設計の仕事の年収・時給・給料(求人統計データ)​​

年収をアップさせるには?

機械設計の仕事で年収をアップさせるには転職を視野に入れつつ、自分に合う働き方をできるように研鑽を積むのが大切です。具体的にどのような方法で年収を上げられるかを確認しておきましょう。

安定経営をしている企業でキャリアアップする

統計データからわかるように大企業で働いて昇進し、キャリアアップをするのが年収を上げることに直結します。

ただし、中小企業であっても安定経営をしている企業ならボーナスもしっかりと出るケースも多く、基本給も上がりやすい場合もあります。役職が付けば手当も出るようになるでしょう。業界でのシェアや技術力に注目して、安定経営企業でキャリアアップを図るのがひとつのポイントといえるでしょう。

年収の水準が高い業界を選ぶ

機械設計の年収は業界によって違いがあります。年収の水準が高い業界に転職するのも効果的な方法といえるでしょう。

中でもIT分野と重電分野は全体的に年収が高い傾向があります。IT分野は中小企業も多く、また成長盛りでやりがいのある現場が豊富です。

重電分野は大企業が多いですが、安定した利益を上げている企業がほとんどです。

マネジメントスキルを身に付ける

マネジメント職になると年収は上がります。主任クラスから経験を積み、部長クラスにまで昇進すれば大きな年収アップになるでしょう。

研修や社外のコミュニティなどでマネジメントスキルを身に付けるのは効果的といえます。

マネジメントのポジションが空かないと昇進が難しいのなら、転職も視野に入れて上位のマネジメントのポジションを狙うのも良いかもしれません。

機械設計への転職を成功させるポイント

手っ取り早く、転職で年収を上げていきたいのであれば、大手企業に転職をするのは一つの手といえます。

但し、大手企業の機械設計者の仕事は、例えば

 

  • 自分で手を動かさず、管理ばかりになる
  • 決裁を取るのにハンコがやたら多く必要
  • 明らかに無駄としか思えない昔からのルールがあり、それを変えられない 

自分でモノづくりができない、自由度がない、組織が硬直している、といった趣旨の不満があるのを聞きます。

機械設計者の転職理由として、技術者としてのやりがい、自由度の高いモノづくりを挙げる人も根強く存在します。

大手から大手への転職であれば、さほどギャップを感じることはないかもしれませんが、中堅中小から大手への転職だと、技術者としての仕事の進め方が根本的に変わるため、そのてんをよく考慮してから決める必要があります。

では、中小企業への転職であれば、モノづくりのやりがいという面では満たされる会社が多い一方、上記のように年収格差の問題が存在します。

年収UPをする上で、中小企業を見るポイントしては、

 

  • 業界でシェアが高い企業なのか?
  • 請負型(オーダーメイド型の設計をしている会社)であれば、競合とのコンペは少ないか(多いほど価格勝負になってくる)
  • 上記と併せて、付加価値(粗利)を取りに行っているのか?
  • 設備や研究開発への投資ができているのか?
  • 年功序列型ではなく、実力主義ベースで報酬が決まっているか?
  • 部長クラスの年収は幾らくらいなのか? 

これらで複数当てはまっているかどうかで検討をしていくと良いでしょう。

なお、スキル面で言えば、管理メインでやってきた技術者よりは、実務ができる技術者の方が、先々の市場価値は非常に高くなります。

管理メインでやってきた人であれば、今後も管理メインで仕事ができる会社(だいたい大企業になるでしょう)を狙うか、早いうちに転職をして実務ができる会社で腕を磨くことがよいでしょう。

工程経験は、見積基本設計(概念設計)以上を経験していること。また大規模でなくても、一つの機械を上流から下流まで一人で仕上げた経験は非常に大きなポイントになります。

機械設計は、一人前になるのに10年は必要ともいわれます。早いうちから実務ができるようになり、腕を磨いておくことで先々の年収UP成功につながってきます。

 

そのほか、機械設計に関する記事はこちら

 

まとめ

機械設計の年収は会社規模や地域による違いがありますが、400万円〜550万円程度が一般的です。

給料面で悩みがあるのなら転職を前向きに考えてみても良いでしょう。給料を重視するなら安定経営をしている企業で高いポジションを獲得するのが理想的です。

IT分野のように年収の水準が高い業界もあるので、自分にとって理想的な働き方も考慮して転職先を決めるのが大切です。

制作協力:オモシゴジャーナル編集部

 

おすすめ求人情報

その他のコラム記事

まずはあなたの希望する働き方・ライフスタイルを第一に考えます。
すぐに転職をお考えでなく、転職しようか迷っているという方もぜひご利用ください!

  1. HOME
  2. コラム
  3. 技術者の転職
  4. 機械設計の年収・給料はどれくらい?業界の相場や平均金額を解説