コラム
機械設計とはどんな仕事?仕事内容、やりがい、転職の向き不向き

機械設計は、機械製造のベースとなる部分を作成するものであり非常に重要な仕事です。
機械設計の仕事に興味があり、転職も検討しているものの、仕事の詳細がよくわからないという人もいるかもしれません。
ここでは、機械設計がどのような仕事なのかをテーマに、仕事内容ややりがい、向いている人、求められるスキルなどを解説していきます。
目次
機械設計の仕事内容
機械設計は言葉の通り機械の設計を行う仕事です。
私たちの生活に機械は欠かせず、世の中に存在する機械は綿密な設計に基づき製造されています。
機械設計の仕事も、私たちの生活になくてはならないものと言えるでしょう。それでは、そんな機械設計の仕事内容をもう少し詳しく見ていきます。
機械設計は、概念設計・基本設計・詳細設計・生産設計の4つのプロセスからなります。このプロセスをクリアしながら、設計を進めるのが機械設計の業務です。
#概念設計
完成した機械で実現したい目的を叶えるためのアイデア・コンセプトなどをまとめるもの。
#基本設計
概念設計に基づいて行う基本部分の設計です。概念設計でまとめたアイデアやコンセプトは実際に実現可能か、検証しながら設計を進めます。
#詳細設計
基本設計をベースにさらに詳細に行う設計です。設計の途中で生じるさまざまな課題にも対応しながら、また試作なども行い完成形を具体的につかみながら、設計を詰めていきます。
#生産設計
詳細設計までで決めた内容を、実際に製造できるよう、サイズ・材質・パーツ・加工方法などまで細かく指定するものです。
このような設計を、全て機械設計が担当します。
機械設計のやりがいや向いている人
次に、機械設計の仕事のやりがいや、向いている人について紹介します。
仕事のやりがい
機械設計の仕事で得られるやりがいとしてまず大きいのは、自分の設計した機械が実際に稼働するというものづくりの喜びです。
自分の考えたものが形になる嬉しさは、実際にその現場に携わった人でなければ味わえません。
また、自分の設計した機械が活用され、誰かの役に立つこともやりがいとして考えられます。
さまざまな機械に支えられながら私たちの生活は成り立っています。
自分の仕事が社会の重要な部分を担っていると言う責任の大きさはやりがいと言えるでしょう。
その他、機械設計の仕事は比較的収入が高くなる傾向にあるため、待遇面でもやりがいにつながります。
向いている人
機械設計の仕事に向いている人は、まずモノづくりが好きであること、設計に関連する仕事に好きな気持ちがあることが大切でしょう。
機械設計は一筋縄ではいきません。成功の数以上に失敗を繰り返すことになります。
このような失敗の連続にもめげずに、根気良く業務に向かえるなら機械設計という仕事で活躍できるのではないでしょうか。
また、向上心のある人も機械設計の仕事に適性があります。
機械設計は1度知識やスキルを身に付けたらそれで終わり、というわけにはいきません。機械製造は日々進化を続けると見込まれる分野であり、最先端の技術から取り残されないよう常に学び続ける必要があります。
そのため、自分を高めたい、より良いスキルを身に付けたいと考える向上心にあふれたタイプの人は、機械設計の仕事に向いていると言えるでしょう。
その他、今やパソコンはどのような業界でも使用されているものですが、機械設計もパソコン上で行う作業がほとんどであるため、切っても切り離せないアイテムです。
CADやCAMといったソフトを使用して仕事を進めていくため、パソコンスキルは機械設計の仕事にとって必須のスキルと言えるでしょう。
機械設計の仕事のきつい点厳しい点
機械設計の仕事には大きなやりがいがありますが、きついところや厳しいところももちろんあります。
例えば、先の項目でも述べた通り、機械設計の仕事は失敗が多いと言われています。
すんなりと正しい設計ができるとは限りません。さまざまな失敗を繰り返しながら、最適な設計に近づいていく過程を経て機械が完成するのです。
しかし、この失敗の繰り返しがきつい・厳しいと感じる人も少なくありません。
また、常に新しい技術に対するアンテナを張らなければいけないことも、機械設計の仕事の厳しい点です。
これも先に触れましたが、機械製造の分野は日々進化し続けています。新しい知識や技術が頻繁に更新されていく業界であるため、勉強し続けなければ最新の状態から置いて行かれ、自分のスキルも古くさび付いたものになってしまいます。
だからと言って、新しい情報を素早く収集ししっかり理解する、これをずっと継続していくことは簡単ではありません。
機械設計の仕事を続ける限り、テクノロジーの進歩や技術に関する勉強が必要です。これを厳しいと感じる人もいるでしょう。
また、機械設計は機械の屋台骨、ベースとなる重要な部分です。
自分の設計が機械の性能や質に大きく影響を与えるということは、大きなやりがいになり得るとともに、プレッシャーにもなります。
仕事の責任の重さが辛いと感じる人もいます。
機械設計の仕事に活かせる経験や求められるスキル
最後に、機械設計の仕事に活かせる経験や求められるスキルを解説します。
活かせる経験
機械設計の仕事に就く前に、機械製造の仕事経験などがあれば活かせるでしょう。設計を行うためには、製造についても詳細に知っている必要があるからです。
また、機械設計の仕事でパソコンも不可欠なので、システムエンジニアとして働いた経験などがあれば、高度なITスキルを設計にも活かせそうです。
その他に、機械設計においては設計業務だけでなく顧客対応も発生します。
営業職は一見機械設計とあまりリンクしない職種に見えるかもしれませんが、顧客のニーズをくみ取り、的確な提案をする営業職の経験は、機械設計でも役立つでしょう。
求められるスキル
機械設計の仕事においては、設計に関するスキルが欠かせません。
特に、構造力学・材料力学・熱力学・流体力学は必ず使う知識です。
また、製図・組み立て・製造工程などについての詳しい知識、それを用いて設計を行うスキルも必要です。
また、論理的思考力も機械設計には必須です。設計は筋道を立てて考えていく仕事。
ロジカルに機械の構造を考え、それを設計として形に整えていく力を使います。
その他、機械設計ではコミュニケーション能力も必要です。
設計の仕事は自分1人ではできません。例えば、機械の製造を依頼したクライアントとヒアリングや打ち合わせを行う場合もあります。
社内の企画で機械を製造する場合は、担当部署とのやり取りが生じるでしょう。
また、機械の製造はチームで行うため、他の同僚たちとも細かく連携する必要があります。設計は個人作業が多いとイメージする人もいるかもしれませんが、さまざまな人とのコミュニケーションによって成り立つ仕事なのです。
機械設計への転職を成功させるポイント
機械設計経験者が、別の会社の機械設計職に転職する場合
まず、採用のされやすさという視点で見ると、設計する製品ごとに全く異なる「設計思想」「構造」「部品点数」などから、製品が異なるだけで採用ハードルは上がります。
例えば、
- 産業用機械部品の設計経験者が産業機械の機械設計職に応募
- 建設機械の設計経験者が家電製品の設計職に応募する など。
採用側の口癖として「モノが違うからうちじゃ難しい」等と言われます。
人手不足、売り手市場と言われ、採用に長らく苦戦している企業でさえもその傾向は根強くあります。特に30代以降になるとより顕著にその傾向は出ています。
とはいえ、入社後に勉強してその会社の製品の知識を身につけ、活躍している技術者の方は多くいます。
数年かけて製品知識を習得する事に理解がある会社も一定以上存在します。
機械部品→産業機械 など、設計構造や部品点数に大きな乖離がなければ、製品が異なっていても十分採用されるチャンスはあります。
また、志望する企業で、どのような動き方を求められるかが重要です。
大手企業であれば、その多くで技術者は自分で手を動かさず、外注や協力会社に設計実務を依頼し、進捗管理をする動き方が求められます。
多くの中小企業では、外注などは使わず、1人の技術者が概念設計から部品図作成、試作、テストまで一貫して手掛ける動き方を求められます。
動き方によって、力が発揮できるかが変わるだけではありません。
技術者としての仕事のやりがいも大きく変わり、そのことが原因で、不本意な転職を考える事にもなるため、よく考慮することが必要です。
最近では、外部の活動にどれだけ理解があるかも、かなり重要な要素となってきています。
優秀な技術者は、自社の仕事だけでなく、自宅に3Dプリンターや中古の工作機械、工房を持ち趣味でモノづくりをしているような人もいます。
それに加えて、自分の活動をSNSなどで発信してコミュニティを作ったり、社外の技術者と交流をするなど対外的な活動をする人も増えています。
そうした活動を通じて、副業的に収入を得ている技術者もいます。
こうした活動は、技術者にとって社内の仕事だけでは得られないスキルや知見、人脈を得る貴重な機会となりますが、自社の機密情報流出を懸念して、こうした活動に否定的な考えを持つ会社も少なくありません。副業を禁止している会社もまだまだ多くあります。
優れた技術者にとっては、企業がこうした技術者の対外的な活動に理解があるか?実際にそうした技術者がいて、一緒にモノづくりの事を語ったり、交流できて技術者としての成長が期待できるかも、大きなポイントになってきています。
求人票やネットの募集要項を見るだけでは、動き方や社内技術者の活動のこと等はなかなか分かりません。個人で応募した場合は、面接に進んだ時に色々な質問をして聞く。エージェント経由での応募であれば、事前にエージェントから情報を得るなどして検討をすると良いでしょう。
未経験から機械設計職に転職する場合
未経験から機械設計職に転職をするのは、実際にはかなりハードルが高くなります。
時折、CADができれば機械設計の仕事ができると考えられていることもありますが、機械設計の仕事はCADで図面を書くだけでは成り立ちません。
4力と呼ばれる 「材料力学」「流体力学」「熱力学」「機械力学」の知識。強度計算をするときなどに数学を使うなど、様々な基礎知識が求められます。1人前になるのに10年はかかるとも言われているくらい、技術の取得にも時間が掛かる仕事でもあります。
実際、実務未経験で直ぐにメーカーの設計職に就く例で挙げるとすれば、職業能力開発促進センター(ポリテク)で職業訓練を受け、ポリテクとお付き合いのあるメーカーに就職する、というケースがあります。
それ以外には、教育体制を整えている技術系派遣会社に転職し、そこで研修を受け色々な現場で実務経験を積んだ後、メーカーに転職する、というのもあります。
ただし、ポリテクの場合は職業訓練などの支援を要するとハローワークから認められなければ受ける事が出来ません。
また、技術系派遣会社からスタートする場合、派遣会社によってきちんとした経験が積める現場にアサインされることもあれば、技術とは名ばかりの作業ばかりさせられ、一向にスキルアップできないような会社もあり、当りハズレも大きくなっています。
一度技術を身に付ければ、長く食べていけるのが機械設計職の魅力ではありますが、未経験からはそれなりに長い道のりになることを理解した上で、挑戦していくと良いでしょう。
そのほか、機械設計に関する記事はこちら
機械設計の仕事を理解してキャリアの可能性を考えよう
機械設計は社会の中でとても大きな役割を担う仕事であり、その重要性がやりがいや責任につながっています。
経験を活かせる仕事からステップアップする、必要なスキルを身に付けたり、ステップを踏むことで未経験からでも機械設計を目指すことは可能でしょう。
ぜひこの記事を参考にしながら、機械設計という仕事のキャリアの可能性を検討してみてください。
制作協力:オモシゴジャーナル編集部
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